昔まったく本を読まなかったときに世界中でベストセラーという帯と本の薄さに惹かれて買いました。
普段本を読まない人にも大人にも子供にもおすすめできる一冊です。
簡潔な文章で書かれていて私はこの翻訳の文章も好きです。
主人公のサンチャゴという少年は裕福な家庭に生まれるのですが世界を旅したいために羊飼いになることを選びます。
少年は旅の途中、人々と出会い別れる中で様々な知恵を身に付けていくのですが、その過程で重大な選択を迫られることになります。
不自由のない安定した生活を続けるか?
今あるものを捨て、新しいものを求めるか?
選択に迫られた少年は未練や恐怖を感じたとき、迷ったとき、自分が本当に求めている心の声を探すのですがあたかも読者に語りかけてくるわけです。負けるな。心の声に従えと。
ふと自分の過去の局面を思い出してみたり、現在悩みを持っていたりすると少年とオーバーラップするのですが同時に勇気まで与えてくれるのです。
自己啓発本よりも自己啓発とか言われる所以です。
どうでもいい話なんですが個人的にアルケミストが時折自己啓発にカテゴライズされることについて否定はしないのですが、あまりそういう風に呼びたくないっていう心境があります。
なぜかというと自己啓発って自分を成長させる「教え」の要素に比重があるように思うのですが、この本では少年や周りの人の心に共感する物語としての部分もさらに重要な要素だと思うからです。
少年の心が綺麗すぎて純粋に物語として楽しみたい。そんな感じです。
私がこの物語で選ぶ印象的なシーンが二つあります。
一つ目は後半の女の子との会話です。すでにお互いが満たされていくのが感じ取れて幸せを感じるのです。あなたの幸せは何ですか?と聞かれると普段は回答に悩みますがこのシーンを読むと幸せを感じられるのは確かです。
二つ目は終盤の奇跡です。何度読んでも涙がでます。
短いのに心に勇気を与えてくれるので数年に一度読みたくなる大好きな本です。
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